先日、アメリカのトランプ大統領が、VAPE(ベイプ)の香り付きや味付きのリキッドの販売をFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可が出ていないものは販売禁止するという報道がでました。
「トランプ政権、電子たばこの規制強化へーフレーバー付きの販売禁止」原文
出典:米ブルームバーグ
アメリカでは、ニコチン入りのリキッドが主流で、「JUUL」という商品が大流行していました。
その手軽さとスタイリッシュさでアメリカの若者の心をつかみ売上を拡大している中で、若者がニコチン中毒になってしまう事が一つの社会問題でした。
そこに加えて、アメリカでは、肺疾患で緊急搬送や死亡した人までのニュースが出る度に、電子タバコを吸っていたという見出しで報道されていました。
他には、電子タバコが爆発する事故など、ますます電子タバコは危ない商品だというイメージがついてきています。
日本への影響としては、これらのニュースが意訳されたり、見出しのタイトルを短く表記してしまう事で本質とは違うニュアンスになってしまい、電子タバコを知らない人からしたら、『電子タバコは悪だ。電子タバコを吸う人も悪だ』という印象を与えるものが見受けられます。
電子タバコを扱うメディアとして、公平な視点ではないという意見があるかもしれませんが、なるべく客観的な視点でこのニュースを取り上げたいと思います。
アメリカのVAPEの規制の内容について
まず、今回のアメリカのVAPE規制の内容を整理したいと思います。
アメリカでは、日本ではメジャーなアイコスなどはほとんど販売していませんでした。(2019年4月30日付けの現在は米国でアイコス販売しています。)
紙タバコに代わるものとして、電子タバコ・VAPE(ベイプ)というものが出てきました。
そのアメリカの電子タバコの象徴にもなるのが、「JUUL Labs(ジュールラブズ)」という会社です。
スタイリッシュさと手軽さと味付きのフレーバーリキッド(ニコチン入り)がアメリカの若者に受けて、アメリカで電子タバコ市場のシェア約7割を誇るまで成長したユニコーン企業です。
この香りや味付きのリキッドが広まった事で、
香り付きや味付きニコチン入りのリキッドが、若者の喫煙を助長させている
という社会問題が顕著になりました。
電子タバコは、歴史が浅くルール作りもまだまだこれからという状況もあり、トランプ大統領は、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可が出ていない香り付きや味付きの一部リキッドの販売を禁止するという政策をしたという事です。
タバコ風味(ミントやメンソール)のフレーバーは除くという表現も少しあいまいな所です。
また、注意していただきたいのが、
FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可が出ていない一部リキッドが販売禁止で、電子タバコ自体が禁止になったのではない
という事を、ご理解いただきたいと思います。
ニュースを見ていると、「電子タバコ禁止」という見出しを見ますが、本文を読むときちんとした内容が書いてあったりします。
9月13日の報道から読み解ける現実問題としては、ここまででした。
利権問題だ!という意見もありますが、実際の所見たり聞いたりしたわけではないのではここでは論じません。
また、アメリカで州ごとに法律や条例が違う事もあり、カリフォルニア州サンフランシスコ市は、食品医薬品局(FDA)に健康への影響評価を受けていない電子たばこの販売を禁止する条例を、来年施行予定で可決しています。
これも、若年層への喫煙助長を促す事が大きな理由になっています。
「サンフランシスコ、電子たばこの販売禁止へ 米国初」原文
出典:BBC
ここに対しては、「紙タバコは禁止ではなく、電子タバコが禁止になるのはおかしい。結局、紙タバコに戻る人が多数でてくる」という主張もあります。
正直なところ、ここの議論は少し難しいと感じています。
サンフランシスコには、あのJUULが本社を置いているのにも関わらず、条件付きで販売を禁止する条例を出しています。
いずれにしても、電子タバコの歴史はまだ浅く、研究も膨大なデータ量や年数を要する事もあり、解明できない所は多々あります。
喫煙者側にとって優位な情報、非喫煙者側にとって優位な情報が散見されますので、現時点で科学的な根拠がない中で論ずるのは難しいとは思っています。
ちなみに、日本では、ニコチン入りのリキッドの製造、販売、譲渡は禁止されています。
日本国内で販売しているリキッドは、すべてタール 0(ゼロ)・ニコチン0(ゼロ)です。
疾患の緊急搬送や死亡した方の内容について
電子タバコを取り巻く上で、これも悪いニュースで取り上げられています。
ここに関しては、医学的な話にもなり正確な内容を伝える事ができません。
しかし、言える事は
電子タバコと病気の因果関係はまだはっきり解明がされていない
という事です。
緊急搬送や死亡した方の特徴として、電子タバコを吸っていたという内容ではありますが、電子タバコは世界で多くの方が吸っており、このようなニュースはアメリカで見受けられます。
最近の報道では、正規のリキッドではなく、闇界隈で販売されている違法なリキッドや、オリジナルでニコチンを大量に入れたリキッドなどを吸っていたなんて情報が出てきています。
もし、それが本当だとしたら、ルールを守らない一部の人で、多くの方も禁止にされてしまう事は悲しいかなと思います。
電子タバコに限らず、他のものにも言えるかと思います。
用法容量を正しく使っていれば、防げていたのではないか?という情報も出てきています。
睡眠薬だって、きちんとルールを守って使えば薬として機能しますし、大量に飲めば最悪な事にもなります。
電子タバコの爆発の内容について
こちらも年に数回見受けられるニュースです。
電子タバコは、電気を使っている為、スマホや他の電化製品同様、爆発する危険性は0%という事はありません。
そして、海外の爆発事故で調べられている中では、
- 充電を、正規品とは違うコードや電圧で行っている。
- 製品をカスタマイズをしてしまっている。
- 古いバッテリーを使っている。
- そもそも粗悪品を使っている。
などなど、やはりルールを無視した使い方や、粗悪品を作るメーカーが原因とみられます。
電子タバコを扱うには、電圧や電力やΩ(オーム)などの知識が前提として必要です。
初心者に使いやすいスターターキットの商品もありますが、この辺りを知らないと事故を起こす可能性が高くなります。
電子タバコは、爆発する可能性は0%ではない。正しく使う事が大事。
日本でも、品川駅でモバイルバッテリーが爆発する事故が起きています。
このニュースで、モバイルバッテリーは危険だ。禁止にすべき。という世論にはなっていないと思います。
日本の影響について
日本は世界と比較してまだ電子タバコが普及しているとは言えない状況です。
それは、世界では少し珍しい加熱式タバコ(iQOSやglo)などが普及している為です。
電子タバコの情報が少ないゆえに、間違った情報や見出しだけで判断してしまう方が一定数でてしまいます。
日本と世界の電子タバコ事情の大きな違いは、先もお伝えした通りで、
日本国内でのニコチンリキッドの製造、販売、譲渡は禁止
にされています。
一部認められている個人輸入で、ニコチンリキッドを吸っている方はいらっしゃいますが、タール0(ゼロ)・ニコチン0(ゼロ)のリキッドで電子タバコを楽しんでいる方が多数です。
そして、アメリカと中国が電子タバコの市場が大きく、製品に関しては日本では海外市場に大きく左右されます。
アメリカでの香り付きのリキッドが販売禁止となり、製造しなくなれば、もちろん日本にも香り付きのリキッドは入ってこなくなります。
ですので、市場としては大きな成長期にブレーキがかかってしまう事が予想されます。
幸い、日本には高品質で安全な国内リキッドメーカーはいくつかありますので、リキッドを楽しむ文化は継続していくと考えられます。
まとめ
全体を通して、現行のルールを守らないで使用する人が一定数いる為、様々な問題が出てきてしまっているのではないかと考察いたしました。
現実問題として、若年層のニコチン中毒は確かに問題視をするのは理解できます。
そこにルールを決めて実行する事は大切な事かと思います。
昔は、日本では未成年もタバコが普通に買えてしまった時代から、身分証明が必要となりルールを変えて若年層の喫煙を防ぐ事をしてきました。
そこに、電子タバコは悪いものだから禁止!と決めつけるのは、紙タバコは良いのか?という意見が生まれてくるのは当然の事のように思います。
ここでは、電子タバコは身体に良いものだ!という事を言いたいのではなく、紙タバコと比較した時にどちらが身体への影響や周りへの影響があるかという視点です。
ただ、電子タバコ自体がまだ歴史が浅く、長期的な検証ができていないのでWHOも「リスクがないわけではない」というコメントに留まっている状況があります。
このような事象からもっと本格的な研究や検証がされる事は良い事だと思います。
最後に、電子タバコを正しく扱っていたとしても、安全性は確実なものと立証されているのではなく何かしらのリスクはあるという事、そして、海外と日本の状況は違うという事を前提としつつ、日本ではまだまだ情報不足な電子タバコ。当サイトでさらなる情報を伝えていきたいと思います。